私的写真論

昨日、何食べたっけ?と思い出せない。

それくらいに記憶力には自信がない。

お酒を飲んで、話したことなどたいてい何も残らないし、友達と楽しく話していたはずなのに、何が可笑しかったのかを後で捉え直すことも出来ない。

ただ、写真に残した光景だけはしっかり覚えている。それは、忘れた後にも繰り返し見ているだけのせいかもしれないが。

写真には記憶の保持という機能、つまりは"記録"としての役割がある。

極端な一瞬を捉えているので、誇張された美しい風景や楽しそうな友達の写真だけが残っていく。その極端な瞬間だけは濃く残り、それ以外は薄らいでいく。

その為、実際はくだらなかったとしても、そのくだらないの中にある綺麗なものを掻き集まり、後で振り返った時にとても素晴らしい時間を過ごした気にしてくれる。

〈どこかの作家もタイトルにつけていた『人生は騙し騙し』これをやっていくのに最適なのだ笑〉

写真は、後で振り返る時にはどうとでも思えるものだと気付かせてくれる。

撮るという行為自体も楽しいが、そうした意味有りげな教訓もくれる。

そんなことを思ってると、写真にはまり、カメラにどんどんつぎ込んでしまっている。